近藤聰歌集『傍らに』

傍らに寄り添う心

ここに収めた318首には、右顧左眄することのない作者の生活態度と作歌姿勢とが如実に表れている。日常における様々な感動の滲み出た作品が随所に置かれてある。そこに生ずる勢いは、時に表現を超越した一つの迫力となって、読者の心を捉えることだろう。(野地安伯・帯)

・幸せになるため歌を詠むのだと語り給へり洋先生は
・病む父は傍らに座る吾の名を幾度も呼ぶ「聰はゐるか」
・風の道光らせて薄の穂が靡く耳順となれる吾に向きつつ
・女の子が折りし紅鶴下校時に付き添ふ我ににこにこと呉れぬ
・校庭の桃の小枝を切り揃ふる事務員の手の鋏が光る