鈴木香代子歌集『6月のるん』

絵画の入ったあたたかい歌集

著者の第三歌集。歌数は15首ながら、新しい命の誕生を祖母の立場から詠う作品がならぶ。大宮のぞみ氏の絵画を添えて心温まる歌集である。

・青空のりんりんりんごの赤い実は赤ちゃんのくる冬呼んでいる
・こんこんと大雪小雪のふる夜の手にのるほどのちいさな寝息(ねいき)
・この星にうまれてまだ地をふまない子銀のさかなのような足だね
・祖母という名の野の花になるつもりほんのり匂うふゆの桜もち
・早朝のバスは猫バスあくびしてとおい野原へ走ってゆくよ
・子は跳(は)ねて跳ねてひぐれの春の雨ながぐつ好きの長ぐつぬらす