米山髙仁歌集『蒼天無常』

医の道、歌の道を辿って

醫業を通じて人と出會ひ、會津の自然と語らひ、親しき人々を送ることは、同時に人生に相渉ることでもある。
蒼天を流れわたる雲に鎭魂の思ひをかさね、日々の哀歓によつて陰翳を深めた歌は、此處に正道に入らむとしつつある。 (帯)

・亡き母の秋の匂ひと好みゐし金木犀は風を染めつつ
・そをつきて癌の治療に通ひゐし父憶ふよすがの太きステッキ
・純白に視野をさへぎる大雪や會津の冬はかくあるべきぞ
・忠と義の戒名に入る墓石は餓島に戰死の二十四歳
・頂きし海苔なくなりし朝餉には眞白き飯をかくすものなし