大塚健歌集『言ふいふ川』

 二〇一五年から二〇一九年までの五年間の作品を纏めて一冊とした私の六冊目の歌集である。幾つかの言葉が頻繁に使用されているが、殊に目立った「言ふ」「いふ」「川」の三つをそのまま並べて歌集名とし、自戒の意を籠めた。 (あとがきより)

・休止符をひとつ打ちつつ滑らかに走りいだせる言の葉のあり
・そののちの弥縫によりて繫がるること多くして今ここに在る
・ぬばたまのクロードモネの描きたる花といはれてみれば花なり
・放埓のやうに見せつつ細やかにすぐる配慮のその底に透く
・ていねいに呼吸する人さうでない人いりまじり坩堝をなせり
・遠い日の遠いさざなみこの耳のどこかが覚えゐてこよひ聴く