日誌(2019年1月15日)

2019/01/15

 週末からの三連休。月曜日が休日とはまったく予想だにしなかったことで焦る。歌書の校正。歌や文章がなにしろ古いものからの引用なので、ここは沽券にかかわるところと手元の古書を駆使して猛烈な校正をする。赤字たくさん入れる。爽快なり。
 土曜日、東京古書会館の方の東京愛書会、西部古書会館の方の大均一祭を回る。駆け足である。
 まずは東京愛書会から。あまり買うべきものなく、適当に拾うのみ。
 
 与謝野晶子『歌の作りやう』(東京堂書店、大正6年/5版)/300円
 今井邦子『歌と随想』(第一書房、昭和14年)/300円
 一ツ橋美江歌集『如鳥如魚』(遠つびと、昭和18年)/500円
 吉植庄亮『雨耕抄』(時代社、昭和19年)/300円

 なんといっても『如鳥如魚』が良い。著者は水町京子の「遠つびと」の会員。もともとは「草の実」で水町や北見志保子の指導を受け、一時岡山巌の「歌と観照」にもいたことがあるらしい。横に長い型の和装本、帙入り。復刻版かと思うほどに、状態が素晴らしく良い。旧蔵者が大事にしていたものか。昭和18年発行にもかかわらず、紙も良質で、自費出版だからできたのだろうか、信じられないくらい美しい本。序歌は蜂須賀年子、序文は水町京子。写真もあるが、母をはやくに亡くした、やや病弱な良家のお嬢さまといった感じの人で、その意味で本の体裁にぴったりなのだが、時局柄か、いきなり、「軍神を讃ふ」「撃ちてし止まむ」と勇ましい一連が続いて仰天する。一ツ橋美江にはまったくふさわしくない歌集の始まりで、時代さえ違えばと少し悲しむ。

 大均一祭。初日は全品200円、二日目100円、三日目50円という恒例の即売会。家人の励ましにより初日に向かう。社会科学系の本が多い印象で絶望し、特に買いたいものもなかったのだが、隙間から以下の本を見つける。

 佐佐木信綱『和歌の話(改版)』(東盛堂、大正13年)/200円
 茂手木みさを歌集『一隅の薔薇』(朝日書房、昭和5年)/函欠、200円
 木村三太郎歌集『木母集』(武都紀発行所、昭和10年)/函壊、200円

 『和歌の話』もいまさらの本だが、信綱の文章なので安心して読めるし、古代から当代までのさまざまな歌について語られるので、飽きることのない本。
 茂手木みさをは与謝野晶子門下。鉄幹の題薟、晶子の序歌が歌集を飾る。しかし、岩野喜久代編『与謝野晶子書簡集』の註によると、みさをは後に晶子に遠ざけられたらしい。同門で「いづかし」を主宰した中原綾子に親しんだことが遠因とされ、また、別の資料によると同門の深尾須磨子に嫉視されてもいたらしい。
 木村三太郎は山川弘至との合著『浪華の歌人』(全国書房、昭和18年)で知られる。「木母」すなわち「梅」とのこと、亡父が梅を愛していたため名付けたという。木村の友人浅野梨郷の序文。木村は「武都紀」にいたのか。知らなかった。
 夜、家を出て職場に。校正、早暁に及ぶこと二日。