趣味展その他

2019/01/20

 土曜日午後、趣味展に行く。期待していたが、すでに目ぼしいものはなくなっており、下記のみ買う。

 釈迢空歌集『春のことぶれ』(梓書房、昭和5年)/1000円
 江口きち『武尊の麓』(婦女界社、昭和14年、四版)/300円

 いずれも復刻版が出ているものなので買わなくてもよかったのだが、古いものは古い形で味わいたいということで。
 また、西荻窪の盛林堂書房で以下を拾う。

 斎藤勇『見えざる人』(新星書房、昭和48年)/100円
 藤平春男『歌論の研究』(ぺりかん社、昭和63年)/100円
 大塚陽子歌集『遠花火』(雁書館、昭和57年)/100円

 斎藤勇は同名の英文学者のほうが有名で紛らわしいが(他にも同名の人が諸分野にいるらしい)、橋田東声、臼井大翼に師事した歌人で、昭和十二年渡台し「台湾」を創刊、引き揚げ後に「台湾」を改題した「黄鷄」という歌誌を主宰していた。戦中の台湾歌壇の重要人物。また、戦前改造社から出ていた短歌の総合雑誌「日本短歌」の編集をしていた人で、この点も見逃せない。「黄鷄」その他に発表した文章をまとめた随筆集で特に戦前の歌壇や歌人に関する回想がおもしろい。
 ずっと外棚にあって、私も随筆だし英文学者のほうだろうと決め込んでいたのだが、あまり長く残っているので中を見たら歌人のほうだった。拾えてよかった。この名前の話は斎藤自身も記していて、北原白秋と初めて会った時、白秋が勘違いしており、ずいぶん若いなと言われて事情を説明し、二人で大笑いしたとのことである。
  藤平の本は勉強用に。100円でいいのだろうか。
 大塚陽子氏の歌集、私が生まれた年に発行されたもの。昭和二十九年、第一回短歌研究新人賞五十首詠の時、編集部による採点では最も有力な候補者であったにもかかわらず、最終的な受賞は中城ふみ子に決まった。それから二十八年後、歌歴三十年を越えてからの第一歌集である。師・野原水嶺との略奪婚などのことも詠まれており、清冽な悲しみの歌を何か痛ましい思いで読んだ。
 歌集の初校を受け取り、家で校正する。