日誌(2019年2月10日)

2019/02/10

  家族とともに吉祥寺に買い物に行ったりして過ごす。帰りに家人と息子がスーパーに立ち寄っていくので、その時間盛林堂書房に行かせてもらう。

  岡本一平『富士は三角』上下巻(越山堂、大正14年)/200円

  漫画漫文集というものである。大正から昭和のユーモア文学を愛好しているのでうれしい。今読むと笑えないものもあるが、当時の風俗を知るにもよい。ユーモア文学は会話の妙をいかにうまく書けるかが焦点だろうか。やはり佐々木邦のほうが面白い気はする。佐々木邦『ガラマサどん』が今まで読んだなかでは一番笑った。
  自分の中のどす黒いものを鎮めるためによく読む。
  上巻の書き出し。

  得小次郎は書斎で新調のモーニングに着換へた。
  学校卒業以来十三年振りに盛装した訳だ。別に嬉しくも無い。盛装して嬉しいと思ふのは或は共鳴或は反感兎に角自分に交渉する人間が存在すればこそだ。両親は在学中に没する。妻は迎へて居ない。友達は一人も無し。世間には離れて居る。彼は又自分の心持ちの満足だけに盛装してみる程詩人肌に出来てる男では無い。見ず知らずの群集に混つて衆目を眩燿するを快しとする程の散文的の男でも無い。
  さらば何故の盛装ぞ。
  彼はモーニングを着た儘書斎の真中にどつかと坐した。丁度そこへ老婢が三時の紅茶とトースト・パンを運んで来た。
  老婢は主人の見違へた姿を見て
  『まあ。よくお似合ひになります』
といつた。


  この程度で笑っている。酒が入っているので笑いやすくなっている。家ではほとんど飲まないが、飲む場合はいつもジンにしている。適当にトニックウォーターで割って塩で飲んでいる。ジンが切れると、仕方なく焼酎をトニックウォーターで割る。酔いやすいので三杯目くらいになるとなんでもいいのである。