中央線古書展

2019/03/23

  午前中、四谷三丁目にある消防博物館へ。息子のためである。大変喜んでいてよかった。消防隊の帽子(プラスチック製)を買ったら丸ノ内線車内で被り出して、他の乗客の微苦笑を誘っていた。午後家族と別れて中央線古書展に行く。鹿島茂氏に『子供より古書が大事と思いたい』という本があるが、なかなかそうはいかない。どちらも自分の人生に欠かせない。もちろん家人も。(時折家内検閲があるため追記。無論本心である。)

  益田甫『ルツボはたぎる』(昭和2年、内外出版協会)/500円
  サトウハチロー『青春風物詩』(昭和27年、東成社)/カバー欠、200円
  『辰野九紫・佐々木邦・正木不如丘・中村正常集』(昭和6年、春陽堂、明治大正昭和文学全集第57巻)/100円

  最後の全集端本はささま書店にて。歌集は買うものがなく、サトウハチローや益田甫などを買ったら、その20分後にはこの端本である。巡り合わせが奇妙。ユーモア縁があった日だったのかもしれない。
  益田甫も映画や釣り文学の人という印象が強いが、これは報知新聞の懸賞長篇小説募集で一等となったもの。裏表紙に「報知新聞一万円懸賞当選作」と記載がある。しかし、この懸賞の賞金は三千円ではなかったか。それを手にして益田はドイツに演劇研究のため留学したような話だった気がするが、何か記憶違いかもしれない。1頁38字×13行、小さな活字で組んでいて612頁ある。いくらなんでも長篇過ぎて、読む気がしない。大正13年に日活から映画化されているからそちらを見た方が早いが、いま見ることは難しそうだ。
  改造社と春陽堂の「円本」合戦において改造社が勝利した一因として、同社の『現代日本文学全集』が総ルビで大衆により受け入れられたと言われるが、少なくともこの『明治大正昭和文学全集』第57巻は総ルビである。春陽堂も途中から総ルビに改めたものか、「円本」研究をちゃんと読んでいないのでよくわからない。