光本恵子『口語自由律短歌の人々』刊行

2019/04/03

 光本恵子『口語自由律短歌の人々』を刊行した。装釘は平本祐子氏にお願いした。内容にあわせてモダンな装釘にしていただいた。
 本書は光本さんが長年「長野日報」に連載しているコラムから然るべきものを選んで編んだもので、口語自由律短歌(=新短歌)を知るには恰好の書物になっていると思う。特に、戦前活躍した歌人が中心になっているので、それらの作品を知るだけでも得られることは多いはずである。引用作品の校正については、原書に当たって万全を期したつもりであるが、どうだろうか。口語自由律の歌集は発行部数が少ないこともあって古書市場でも値が高い。また、モダニズムとも深く関係するので、そういった嗜好のある人々の中に熱心な蒐集家がいるためでもあろうか。
 いずれにしても、光本さんの蔵書は故宮崎信義氏から引き継いだものも含めて大変貴重なものが多い。「未来山脈」の中で戦前戦後の新短歌を学び、現在の作歌に活かして、この流れに新しい力を与え得る人の出現を期待している。定型短歌に比べて、表現との格闘はより大切なことになろうし、苦しいことに違いないが、これだけの歌人たちがこの形式を選び、苦しさのなかに表現することの楽しみを見出してきた痕跡を確かめてほしいと思う。必ず裡なる力が湧いてくることだろう。
 私個人としては、草飼稔、清水信、六篠篤らの作品に、新鮮な驚きと深い感動を覚えた。定型/非定型を問わず昨今の若い世代の歌人にも読んでいただき、歴史の中の自分ということを考える機会になってほしいと願っている。自らの存在が歴史性を帯びてくることだろうと思う。