藤井聡太‐堀口一史座戦のこと

2019/07/02

 編集とは何の関係もない趣味の話で恐縮です。
  本日は第78期順位戦C級1組第2回戦、注目の藤井聡太七段対堀口一史座七段の対戦をライブで観戦した。
 やはり予想はしていたが、47手で堀口七段の投了、昼食休憩も待たずに終局となった。藤井七段が強かったといえばそれまでだが、堀口七段はほとんどの手をノータイムで指される。もともと早指しで、しかも大長考の記録も持っている堀口七段。研究重視でありながら、指し手における内面性を重視するような求道的な棋士で、風貌も含めて昔から私は好きだった。2002年に第一回の朝日オープン選手権者になった頃の写真などを見ていると、この頃が堀口さんの一番充実していた時期だったのだなとあらためて感じる。数年前から体調を崩していて、対局自体が辛いのか、他の対局でもとにかく指し手が早く、数十手で終局することが少なくない。
 本日の対局を見ていて、やはり精神的に相当に辛い状況なのではないかと思った。余計なお世話だが、出来ることならゆっくり休養して、本来の将棋を取り戻し、長く将棋を指せるような状態になっていただけたらと思う。将棋界におけるそういった方面のケアがどうなっているのかわからないが、いたたまれない対局だった。藤井七段も辛かったのではないかと思う。感想戦も無し。投了直後に堀口七段が何か言ったのが気になる。
 ついでに言えば、いくらネット社会だとはいえ、病を抱えている人を、冗談のつもりであっても叩いたり、からかったりしないでほしい。当人の状況がどれほど辛いものかは、仮にその立場にたって考えたとしても充分には理解できないのだから。
 堀口七段、今後も体調回復を最優先にしながら、対局を頑張ってください。応援しています。

(追記)
入室直後の堀口七段の行動が話題になっていたのであらためて見た。あれは、世間から注目されている、そして才能豊かな高校生との対局に臨むにあたって、かつての強豪棋士がおそらく自分の現状を把握した上で、自分の(あるいは自分の病を知って気を遣うであろう藤井七段や報道陣等関係者の)緊張感を解くため、堀口七段なりの精一杯のパフォーマンスなのだと感じた。私は堀口七段の気持ちが(あくまで思い入れの強い推測に過ぎないが)よくわかる気がして、不覚にも涙してしまった。それから、手に持っていた袋は飲物などが入っていて、「どうですか?」と報道陣に語りかけているので、差し入れのつもりだったのではないかと思うのだが——。将棋を指して生きてきて、これからも将棋を指して生きていかざるを得ない人なのだから、今の状況は大変なのだと思います。それにしても対局前のハプニングや相手の極端な早指しによるペース配分の難しさのなか、動揺を抑えて淡々と勝利した藤井七段の偉いこと。