BOOK&A、書窓展

2019/09/13

 忙しい仕事と家事の合間を縫って(本当か?)、高円寺のBOOK&A、御茶ノ水の書窓展に行く。子供の病気以来、「断古書」していたのだが、今週に限って再開した。
 といっても、昔の娯楽雑誌やカストリ雑誌、年報などを買ったりしただけなのだが、書窓展では児童文学関係の古書が充実していて、次のものがあった。

 大槻三好『童心に短歌を培ふ:少国民短歌錬成』(須磨書房、昭和17年)/200円

 これは、まあ、拾い物と言ってよいと思う。大槻三好については、中野嘉一『新短歌の歴史』(昭森社、1967年)、また、鶫書房刊の光本恵子『口語自由律短歌の人々』(鶫書房、2019年)にも「大槻三好の戦中戦後」として一節が割かれている。彼の『高草木暮風:自由律短歌の先駆者』(私家版、1974年)は、高草木暮風という、これまた渋い歌人の唯一の評伝と言えるだろうが、すぐれた書物だと思う。
 ところで、大槻三好のことを考える場合は、やはり、こうした戦時下における児童への短歌教育の問題、また、「童心」がいかに「戦争」や「戦時体制」と結びついていったのか、という観点から再検討する必要があるだろう。当時「少国民」だった人々は今も健在である。大槻の本にとって「錬成」された人がいたのだろうか。
 しかし、以前に大槻の『高草木暮風』を読んでいて思った事だが、短歌のような分野で、特に世に広く知られていない歌人の研究などは、こうした自己犠牲的な著述活動でしか、なかなか伝えることは難しいのだろうなと思った。だが、それだからこそ著者に非常に深い尊敬を抱くし、知識を得た満足と何か物悲しい気分の入り混じった、なんとも言えない感情に浸ることができるわけだ。