日本短歌雑誌連盟秋季総会

2019/11/23

 日本短歌雑誌連盟(林田恒浩理事長・「星雲」代表)の秋季総会にご招待いただいた。
 秋季総会第一部は恒例の優良歌誌表彰(「朝霧」、「樹海」の二誌)に加え、今回が第一回の授賞であるという新人賞(「短歌人」の黒崎聡美さん、「歌と観照」の小林さやかさん)の授賞式もあった。
 「朝霧」の山村泰彦主宰は90歳という高齢ながらはるばる松本から臨席され、私も常日頃お世話になっているので、今回の授賞を非常にうれしく思ったし、百瀬享子さんはじめ「朝霧」の諸氏とも会うことができた。丸山正文氏には、以前山村主宰から鶫書房創業のお祝いとして某旧派歌人の短冊をいただいたのだが、それは丸山氏旧蔵のもと聞き及び、御礼申し上げた。また、「樹海」の古屋正作氏に御挨拶できたことや、旧知の古屋清氏と再会できたこともうれしかった。
 新人賞のお二人には初めてお会いしたが、小林さんは『空から来た子』(ながらみ書房、2007年)の著者として知っており、今回は『ここからの水平線』(いりの舎、2018年)での受賞。黒崎さんは『つららと雉』(六花書林、2018年)での受賞。諸先生方の受賞者紹介によれば現代のある側面を象徴する清冽ですぐれた歌集とのことである。お二人とも落ち着いた感じの美人ということで、いささか緊張もした。新人賞の場合、歌集から代表歌等を抄したプリント等が配布されるとなお良かったと思う。
 第二部は「心の花」の晋樹隆彦氏(むろん、ながらみ書房の及川隆彦社主である)の講演で、尾崎放哉を中心に、荻原井泉水、種田山頭火といった自由律俳句に関するお話であった。落ち着きのある寂びた声で淡々とお話されていたが、なぜか心休まるような講演の流れで、抄出された句も初めて読むものが多く、味のある解説を堪能させていただいた。懇親会の挨拶ではすでに酔っており、その事に触れるのを失念したことは、痛恨事であったので、ここに書かせていただく。及川さんは当年75歳のはずだ。喜寿まであと少しというのは何となく信じられない気もするが、そういう齢を迎えられて放哉らの句を日々読んでいる姿が髣髴し、そういう老境といったら失礼かしれないが、姿に或る感慨を抱いた。短歌に通じるような抒情味のある井泉水の句を評価されていたのもむべなるかな、やはりこの方は抒情と感傷の方だなと、あらためて思ったことであった。
 懇親会では諸氏の御挨拶を伺った。遠方より、「濤声」の温井松代先生、「国民文学」の青木陽子先生、「未来山脈」の光本恵子先生らもいらしていて、親しくお話させていただいたことも、またうれしかった。
 多くの短歌結社が高齢化し、その存続が危ぶまれるなか、日本短歌雑誌連盟のような結社に重点を置いた歌人団体の役割は今後さらに重要になるであろう。比較的若い世代が結社に入り、こういう場に参加してくれることがあればより良いものと思う。「短歌人」の生沼義朗氏が来ていたが、貴重な存在といえるであろう。
 個人的な感想だが、結社とは良いものである。金銭面も含めてさまざまな負担や束縛があるのも事実だが、世代を超えて多くの人間と交わることができるというのは、たんに歌のみならず人間形成の場としても多くの恩恵を被ったと思っている。同じ世代で集まることはもちろん良いことだし、根本的には歌は一人の道であり、個々人が孤独の中で自身と向き合いながら営むべきものだが、それだけでは寂しいものがある。広く歌壇全体のことを考えないと、いずれは索漠たる歌壇風景を現出させることになるであろう。そうなったらなったで致し方が、私としてはこれまでの、そして今現在の歌人との交わりを心の糧として、今後も生きていくであろう。人間一人では生きてゆけず、苦労せずに生きてはゆけず、厄介なものだが、人を活かすことで自分も活きる方途を探している昨今である。