田中ミハル歌集『真鍮の鍵』批評会

2019/12/15

 「塔」東京歌会からのご案内で、田中ミハル歌集『真鍮の鍵』(いりの舎、2018年)の批評会に参加させていただいた。紺野裕子さん(短歌人)、髙野岬さん(塔)と並んで、レポーターを務めさせていただいた。
 批評会ではさまざまな意見が出たが、レポートをおこなった三人がそれぞれ異なった傾向の歌を引いていて、それが面白かった。次第に他のお二人の引いた歌のほうが良い歌のような気がし、また、その評価についても納得のいくものであった。私は少し歌の形の整ったものばかりに偏ったかもしれない。田中さんの歌の良さは、むしろ天真爛漫に正直に自分の思いを自分のリズムで形にしたものにあるのではないか、と私の歌の見方の狭さを感じた日でもあった。
 私は、大学院生のころ、「塔」の東京歌会に一度だけ出席したことがあった。その頃お会いした人では、花山多佳子さん、小林幸子さん、花山周子さんは勿論だが、村上和子さん、岡本幸緒さん、小圷光風さんなど、十五年前とあまり変わらない雰囲気に驚く。当時は狷介さを全開に出していた頃で、たしか花山多佳子さんの歌をさんざん貶した記憶があり、いまだに恥ずかしく、おそらく一生恥ずかしい気持は消えないと思う。一度別の会でお会いした沼尻つた子さんもいらっしゃった。版元いりの舎の玉城入野さんもいらっしゃったが、ばたばたしていて御挨拶する機会を逸し、残念であった。
 懇親会では、紺野さんから非常に珍しい岡田明憲氏のお話をうかがった。岡田氏はゾロアスター教研究で著名で、私もイラン研究をしていた頃にはその著書を何冊か読んだこともあった。世代がかなり離れていて実際に会ったことはないが、紺野さんの興味深いお話に岡田氏が出てきたことは奇縁であった。