「軽雪」終刊号

2020/01/17

 帰宅しようとして郵便受けを見たら、「軽雪」終刊号が届いていた。お話は以前から伺っていたので驚きはしなかったが、胸中複雑なまま、鞄に入れて家で読む。
 一昨年に創刊六十周年の合同歌集『遠山』刊行、昨年に創刊者土屋正夫の十三回忌を終えて、それを良い機会に終刊となったと「御挨拶」の中で編集発行人の鶴岡美代子さんが述べている。高齢化が進む中で、余力を残している時点での決断であろう。
 昭和34年創刊だそうだ。一結社の長い歩み、おろそかには出来ないもので、「私個人は、『軽雪』におりました三十五年間、実に豊かな日々でした」という言葉には、万感の思いが込められていると感じた。
 巻頭の鶴岡美代子「土屋正夫の歌」は73回目。土屋正夫八十三歳の作「一隅を照らすに過ぎぬわが歌業命なりけりまた歩むべし」(『極相の杜』より)の鑑賞が最後となった。「一隅を照らす」その歌業にこれまで多くの人々が救われたことであろうと思う。
 会員の作品欄も、石橋嘉子「土屋正夫先生宅訪問」、榊原雅子「最後になる『軽雪』への投稿」、加瀬正夫「『軽雪』の思ひ出」など終刊号らしい作品もあり、出詠者は26名、ほとんどの方が見開き28首ほどの力作を投稿している。巻末には「軽雪同人発行図書一覧」があり、77冊が掲げられている。結社の足跡とともに故人を含めた同人たちへの感謝の思いと受け取った。
 「軽雪」は終刊するが、鶴岡さんを中心に「洸」(仮称)という同好会ができるそうで、形は変わっても短歌の集りが続くということに安心したような気持ちになった。後記では創刊以来印刷をお願いしてきたという「クマガイ印刷」への謝辞もある。良い終刊号となっていた。
 鶴岡美代子さんはじめ「軽雪」の皆さんの長い間の歩みを讃えたい。