栗原浪絵詩集『小さなろうそく』刊行

2020/05/30

 栗原浪絵さんの詩集『小さなろうそく』を刊行した。装釘は船津朝子氏、装画は斉藤知子氏にお願いした。
 栗原さんは「りとむ」会員で、すでに第一歌集として『藍色の鯨』(ながらみ書房、2017年)があり、当時、私も刊行に携わった。今回は栗原さんにとっても、鶫書房にとっても、初めての詩集刊行となった。
 歌集もそうだったように記憶しているが、大学教師として勤務しながら一児を育てている女性の、知性や芯の強さや心の優しさがよく表れている詩集だと思っている。短歌の三十一音からどうしてもはみ出してしまう言葉や思いを詩に託した。この詩集を依頼された時、栗原さんの大切な御子息が病のために入院されていた。その子のためにも、そして子と同じように病や障害と向き合いながら生きている人々のためにも、詩集を出したいというお話をうかがって、私はとても良い仕事に携われることをうれしく思った。詩集もそうした人々の団体に寄付されるのだそうだ。いまは御子息も無事退院されているとうかがっている。苦境の中でも心の明るさと知のかがやきを失わない姿勢に感銘した。
 栗原さんの詩は柔らかい詩想を軽快な言葉で綴ったものが多い。収録された36篇の詩が、多くの人々に届き、それぞれの人生に小さな灯りをともしてくれることを願っている。
 最後に「たんぽぽ」という短い詩を引く。私の好きな一篇。

たんぽぽとお話をしていたら
あっという間に時間が流れて
たんぽぽはしぼんでいった。

三日月が遠くのほうから
こんばんはと言った。
こんばんは。